「ご縁は一生モノ」という発想が結果的に営業成績につながっていた!
Sansan・日比谷(以降、Sansan):3月に転職なさったということですが、前職ではどのくらい名刺を持っていらっしゃったんですか?
石戸亮さん(以降、石戸):だいたい2,000枚くらいでしょうか。そのうちの1,000枚くらいは営業活動でいただいたもので、500〜600枚くらいはビジネスパートナー。300〜400枚くらいは社外でお世話になった人や利害関係なく知り合った人などからいただいたものです。
Sansan:転職した今は、名刺の数は変わりましたか?
石戸:名刺は前の会社に渡してしまったので物理的には減りましたが、ご縁が続いている人は多いですね。退職にあたり、2,000名くらいの方にご挨拶をしたのですが、数百のレスポンスをいただいたんです。非常にうれしかったですね。
Sansan:名刺をもらったすべての人に連絡したんですね。以前、弊社で調査をしたのですが、名刺が変わった時に、名刺をもらったすべての人に連絡をする人は5%以下だったんです。
石戸:名刺が変わった理由や企業によっては連絡ができない場合もありますからね。私の場合は円満退職だったこともあり、連絡しました。私は「ご縁は一生モノ」だと思っているんです。一度お会いしたら、そのご縁をずっと大切にしていきたいと思っています。だから、異動の際や暑中見舞いなどの季節の挨拶など、営業に直接結びつかないような連絡をよくしています。その際に何か困っていることがないかを聞いて、相談に乗ったり、解決のお手伝いをしたりするんです。
Sansan:相手の困っていることを定期的に聞いて、一緒に解決したいということですね。
石戸:そうです。ビジネスにつながることではないので一見ちょっと大変そうですし、実際大変なこともあります。でも、実はこれが相手と関係を作っていくのに非常に良いのではないかと思っています。そうやって関係を築いているうちに、違う関わり方ができるようになることもあります。クライアントだった方がビジネスパートナーになったり、逆にビジネスパートナーだった方がクライアントになったり、仕事の関係を超えて話せる人になったりすることもあるんですよ。
Sansan:長期的なお付き合いをするなかで、関係性が変わっていくのですね。
石戸:はい。若手の営業マンや、その月ごとの営業成績を厳しく追及するような仕事をしている人の場合、すぐにビジネスに結びつかない相手とのご縁を重視しないかもしれません。でも、それはもったいないと思うのです。ビジネスになるかならないか、という短期的な視点ではなく、長期的な視点でご縁を考えていきたいと思っています。
Sansan:なるほど。ビジネスにつなげようとしていないで関係性を育んでいくことが、長い目で見ると結果的に営業成績にもつながってきているのですね。
営業前の「カルテ」作りは礼儀。それが難攻不落な営業先と打ち解けるきっかけにも。
Sansan:一生モノのご縁を作るために、何か工夫していることはありますか。
石戸:社外の人に会いにいく場合は、お会いする前に「カルテ」を作るようにしています。 この「カルテ」に、名刺に載っているような情報だけではなく、SNSやWEB上の情報を集めて、その方がオンラインでどんな記事を書いているのか、何に興味があるかを調べてまとめています。お一人につき、2〜3時間くらいかけて作ることもありますね。
Sansan:「カルテ」を作って良かったと思った経験はありますか。
石戸:難攻不落と言われていたとある広告業界のトップクライアントの方と非常にお話が弾んだという経験があります。その方は元々エンジニアの方で、講演などでも専門的な話をされていた人だったのですが、業務時間外も使って(笑)、徹底的にその人の専門分野を勉強して会いにいきました。
Sansan:相手をよく知ってから営業をすることは非常に重要なのですね。「カルテ」は社外の人にだけ作るのですか?
石戸:前職では部のマネジメントを行なっていたので、社内の人の「カルテ」も作っていました。その人の家族構成や夢など、次に面談する時に長期的な展望が話しやすく、便利でした。
名刺管理を始めたきっかけとその方法
石戸:3年前に娘が生まれた時です。娘が生まれたときに将来の展望や健康、家族のこと、貯金など、様々なことを長期的に考えるようになりました。それまでは会社のことを目一杯やって、その後に夜中から飲みに行ってしまうような生活だったのですが、一気に考え方が変わりました。
Sansan:わりと最近なんですね。名刺管理をしていなくて失敗したことはありますか?
石戸:3年前までは名刺も管理していなかったので、一度お会いした方に2回目にお会いするときに名前が思い出せず、失敗したこともありました。でも娘が生まれて様々なことを長期的な視点で考えるようになって、名刺を管理するようになり、失敗もなくなりました。管理して良かったと思いますね。
Sansan:弊社で提供している企業向けの名刺管理サービスのSansan(Sansanを知らない方はこちら)を、前の職場で導入してくださったんでしたよね。
石戸:そうです。名刺はいただいたものすべてをデータ化し、ラベルを付けてカテゴライズして管理していました。
Sansan: どんなラベル付けをなさっていたのですか?
石戸: 「恩人ラベル」、「利害関係なしラベル」、「海外ラベル」など、さまざまなラベルを付けていました。営業職で頻繁に会食を行なうため、飲食店の情報も入れており、「飲食店」ラベルもありました。
Sansan:現在はEight(Eightを知らない方はこちら)を使ってくださっていますよね。
石戸:はい。実は、Eightは立ち上げの時に教えていただいて、それからずっと登録しています。
Eightでは、名刺登録をした相手の方が私の名刺を登録してくれると通知がきます。また、Facebookでつながっている人がEightも使っていると、通知が来ます。
その通知を眺めていて気付いたのですが、Eightは最初、こういったアプリに興味のある特定のタイプの人だけに使われていた印象でした。しかし、最近はかなり多くの人が使っているようです。こうやって名刺登録をした相手が、自分の名刺をEightに登録すると通知がきて、名刺がリンクするところが良いですね。
Sansan:ありがとうございます。Eightの機能に何か要望はありますか?
石戸:Sansanでは、名刺登録をした相手の方の企業ニュースや人事異動情報がメールで届きました。有料版でもいいので、そういった情報配信がEightでもあると良いと思います。
Sansan:今後の機能開発の参考とさせていただきます。ところで、名刺をデータ化するのはどのくらいの頻度で行なっていますか?
石戸:データ管理を始めた頃はランダムで行なっていたので1ヶ月に1回くらいの時もありました。でも今はその日のうちに名刺に日付を記載してからデータ化しています。
Sansan:なぜ名刺に日付を書いておくのですか?
石戸:2回目にお会いする時に、いつ名刺を交換したかがわかるとコミュニケーションが円滑にとれるので便利なんですよ。
なかなか関係を築きにくい、目上の人と名刺交換をするときのコツ
Sansan:石戸さんは営業以外で、どのようなときに名刺交換をしますか? 名刺交換をするときに、何か工夫をしていますか?
石戸:交流会や広告系のカンファレンスなどイベントでは多くの人と名刺交換をさせていただいています。ただ、目上の人と名刺交換をさせていただくときは、やはりまだ若手の私だと、話を聞いてもらうために一工夫が必要です。
Sansan:どんな工夫をしているのですか?
石戸:できる限り、相手の方が興味を持ってくださるようにと考えます。その方が興味を持っている人を話に出して「○○さんと知り合いです」とお伝えすることが多いです。
ビジネスの繋がりはFacebookではなくEightで
Sansan:石戸さんはFacebookも使っていらっしゃいますよね。非常に多忙な石戸さんがFacebookとEightを使い分けている理由は何ですか?
石戸:私はFacebookを、義母とロンドンに住んでいる義妹に、子どもの写真を共有するために使い始めたのです。ですので、基本的にはFacebookはプライベート用だと思っています。また、目上の方だとFacebookをやっていらっしゃらないこともあります。
名刺はやはり、仕事用として別途きちんと管理したいんです。そのためにも、Eightにはますます進化していってほしいです。
Sansan:Eightの進化にご期待ください。今日は貴重な時間をありがとうございました!
【営業マン石戸さんの人脈術まとめ】
・長期的な視点で人とのご縁を捉え、季節の挨拶や異動のタイミングでコミュニケーションをとることが、長い目で見ると営業成績にもつながる
・営業前には、相手の方の興味などを調べて「カルテ」としてまとめる
・名刺のデータ化は、会った日付を書き込んで毎日行なう
・目上の人との名刺交換の際は、その方が自分に興味を持ってくださるように知恵を絞る
・Facebookはプライベート用、Eightは仕事用と使い分ける
撮影場所提供:CHEZ MADU(シェ・マディ)六本木店